子宮移植

(子宮性)不妊患者さんの悩みをどげんかせんといかん!

・若年婦人科癌患者
・ロキタンスキー症候群(先天性子宮欠損症)
・その他の子宮性不妊症患者
・GID、LGBT 等が対象

我々は、若年婦人科癌患者さんの術後リンパ浮腫の治療を行っております。彼女たちは、癌治療のためとは言え女性のアイデンティティである子宮や卵巣を失うことに大変心を痛めています。私どもはそのような患者さん達の声を受け、2008年より我々の有する最先端外科技術である超微小外科技術(1mm以下の血管・リンパ管・神経を吻合する技術)を用いて、慶応大学産婦人科の木須伊織先生、京都大学医学系研究科の菅沼信彦教授と基礎研究を積み重ねて参りました。
臨床応用を目指して、多くの一般の方々向けのアンケート調査や情報提供を行い、倫理的な問題点を解決してきております。2014年には日本子宮移植研究会を設立し、一般市民向け公開講座も実施して参りました。スウェーデンにて子宮移植によるヒト出産例が報告され、技術的にも、倫理的にも国際的に議論が進んで参りました。本頁では、我々の基礎研究の概要をご紹介致します。
現在では、名古屋第二赤十字病院産婦人科・移植外科、愛知医科大学解剖学講座と私どもの診療チーム(子宮移植フクロウの会)にて、国内で安全な子宮移植を実施するべく準備を行っております。

「(子宮性)不妊症患者さんの悩みをどげんかせんといかん!」 

我々の診療チームのミッションステートメントです。

日本子宮移植研究会に関してはこちら

2020年2月24日 国内・子宮移植実施への準備(国際連携)

子宮移植研究会は新型コロナウイルス蔓延により中止となりましたが、国内での子宮移植実施の歩みを進めるべく、スウェーデンより来日されたマッツブランストローム教授と、子宮移植実施・準備に関するディスカッションを行いました。

私どもが日本で子宮移植を実施しする場合は、マッツ教授に全面的に協力(suberbise)して頂けることを確約頂けました。マッツ教授は、世界中で75症例に手術を実施・指導されており、豊富な知識と経験をお持ちです。患者さん、ご家族にできるだけ安心して治療を受けていただけるよう最善の準備を整えていきます。

マッツブランストローム先生の記事(世界初の子宮移植成功)はこちら

2021年4月 日本産婦人科学会総会にて学会発表

名古屋第二赤十字病院産婦人科(山室理部長)・移植外科(渡井至彦部長)、愛知医科大学解剖学講座(内藤宗和教授)と、私どもで子宮移植実施に関する共同研究を行っております。倫理委員会での承認下に解剖体での低侵襲化術式の開発に加え、サルや、ブタを用いた動物実験は順調に成功しております。ロキタンスキー症候群はじめ、子宮癌等で子宮を失った患者さん達に、希望の光となるよう堅実に研究を進めています。私どもの蓄積したデータや、取り組みに関して、2021年4月に開催された日本産婦人科学会総会にて発表しました。現在、日本医学会にて国内の子宮移植実施の可否が検討されております(Link)。私どもとしては、日本医学会の指針を元に安全な子宮移植実施を行いたいと考えております。

2020年2月24日祝日に子宮移植研究会(世話人;三原誠・山室理)を開催致します。

【2020年2月16日 緊急連絡!!】

新型コロナウイルス蔓延により、下記の第9回子宮移植研究会は一旦延期となります。

正式には子宮移植研究会ホームページをご確認ください。

子宮移植研究会のホームページはこちらから。会場はこちら

先天性子宮欠損の患者さん、若くして子宮癌等で子宮を摘出された患者さん、その他の子宮性不妊症患者さんの不妊治療を目的に、子宮移植研究を続けてきました。このたび2020年2月24日に日本子宮移植研究会を東京にて開催致します。移植後の妊娠出産に関して日本一の症例数をもつ名古屋第二赤十字病院移植外科の渡井先生、子宮移植をスウェーデンで実際に行い、成功しているマッツブランストローム先生(逐次通訳付き)をお招きして実際の話をして頂きます。

患者さん、ご家族、関連する医療関係者の皆様にふるってご参加頂ければと思います。

質疑応答時間も十分に用意しておりますので、ぜひご質問も準備してご参加ください(匿名可)。マッツ先生への質問は、日本語でも問題ございません。通訳担当者がサポートさせて頂きます。

2019年12月に子宮移植フクロウの会を設立

より安全で安心の子宮移植を実現するために、以下の医学的背景が異なる3チームにて「子宮移植フクロウの会」を設立しました。皆でONE TEAM となり、日本における子宮移植の成功に努めます!

JR東京総合病院リンパ外科・再建外科(三原誠・原尚子医師)

名古屋第二赤十字病院 移植外科(渡井至彦医師・鳴海俊治医師)・産婦人科(山室理医師・加藤紀子医師)

愛知医科大学解剖学講座(内藤宗和教授・平井宗一教授)

2019年7月より子宮移植の低侵襲化研究を開始(於;愛知医科大学解剖学講座)

私どもの診療チーム、名古屋第二赤十字病院 移植外科・産婦人科、愛知医科大学解剖学講座(内藤宗和教授・平井宗一教授)との共同研究を開始しました。子宮を摘出するにあたり、ドナー側の侵襲をより低減することを目標にしています。より安全な術式を確立し、安心して子宮移植を受けて頂きたいと考えております。

愛知医大倫理委員会承認の上で、研究を進めております。詳細はこちら(1)。

解剖学者、超微小外科技術を有する形成外科・再建外科医、日本一の移植後の妊娠出産症例数をもつ名古屋第二赤十字病院の移植外科、産婦人科医との連携となります。ひとつのチームとなって、患者さん、ご家族のサポートをしていきたいと考えております。

2018年9月29日、第54回移植学会にて子宮移植に関する発表を行います

2018年10月3ー5日に開催される日本移植学会に於いて、子宮試食に関する発表を行います。私どもは先天性子宮欠損症(ロキタンスキー症候群)や、若年子宮癌患者さん、子宮性不妊症患者さんを対象に子宮移植実施を検討しております。
今回の移植学会では、子宮移植に関するセッションも立ち上がり、移植医への情報提供を行いたいと考えております。
尚、移植学会に続いて10月6日にJR東京総合病院内で「ロキタンスキー症候群研究会 in 新宿」を開催致します。詳細はこちら

2018年3月26日、ロキタンスキー症候群 専門外来を開設

JR東京総合病院内にロキタンスキー症候群専門外来を開設致しました。詳細はこちら

子宮移植の臨床実施に関しまして、私共は、日本に於いて多くの腎臓移植手術及び、移植後の妊娠出産例を有する名古屋第二赤十字病院産婦人科(山室理部長)、移植外科・移植内科、関連部署との検討会を2017年度より開催しております。

当チームの子宮移植研究(概要)

2014年 日本子宮移植研究会における発表資料(演者;三原 誠)

論文など

我々の子宮移植プロジェクトチームはこれまでの10年近い研究の成果を国内外の学会や、多数の医学論文(英文・和文)で発表し、科学的かつ、医学的なエビデンスの蓄積を行ってきました。

主な国際医学論文1

Suganuma, Hayashi, Mihara et al. Uterus transplantation; Toward Clinical Application in Japan
Reproductive Medicine and Biology (2017年7月号) 詳細はこちら
※日本における子宮移植の準備、一般市民向けのアンケート調査に関するレビュー論文

Abstract
[Background]

In recent years, uterus transplantation (UTx) has been applied as the treatment for patients with uterine factor infertility worldwide. Thus, the clinical application of UTx in Japan should be considered through both the history of UTx technology development in the world and future prospects.

[Methods]

Recent information on UTx was collected via a literature survey and the Internet.

[Results]

Basic research using various animals has been done mainly since 2000. In 2014, the world’s first UTx baby was born in Sweden. In total, 24 UTx procedures have been performed at 10 institutes in nine countries and five births were obtained (as of May, 2017). In Japan, the “Project Team for Uterus Transplantation” initiated UTx experiments in 2008 and the “Japan Society for Uterus Transplantation” was organized in March, 2014. In the rest of the world, the “International Society for Uterus
Transplantation” was established in January, 2016.

[Conclusion]

Uterus transplantation is still under development as a reproductive medicine tool and organ transplant procedure. A collaborative system that is not limited by facilities and specialties should strive to build an “all-Japan” team.

主な国際医学論文2

Kisu I, Mihara M et al.Uterus allotransplantation in cynomolgus macaque: a preliminary experience with non-human primate models.  J Obstet Gynaecol Res. 2014 Apr;40(4):907-18. 
※カニクイザルを用いた他家子宮移植実験における世界初の生理再開の報告。本論文にて、我々が実施している他家子宮移植手術モデルによって子宮が生着するだけではなく、子宮が機能(生理再開)することを世界で初めて証明し、報告した。詳細はこちら

Abstract
[AIM]

Uterine transplantation (UTx) is a potential option for child-bearing in women with uterine infertility. Recovery of uterine function after allogeneic UTx in non-human primates has not been reported. The objective of this study is to establish the functional uterine transplant model in non-human primates.

[METHODS]

Uteri of two cynomolgus monkeys were simultaneously removed, cooled at 4°C and perfused with heparin saline. The uteri were interchanged with each other and then orthotopically transplanted. Immunosuppressive protocols included use of three agents (tacrolimus, mycophenolate mofetil and methylprednisolone) in case 1 and two agents (tacrolimus and methylprednisolone) in case 2. Transabdominal ultrasonography, vaginoscopy and biopsy of the transplanted uterine cervix were routinely conducted to monitor rejection after surgery.

[RESULTS]

The blood concentration of tacrolimus decreased 11 days after surgery and evidence of rejection was found in biopsy of the uterine cervix in both cases. The suspected rejection disappeared 23 days after surgery in case 1 and temporary menstruation resumed at 3 months after surgery. In case 2, blood flow to the uterine artery gradually decreased and the uterus resulted in atrophy due to ischemia, which has been triggered by rejection.

[CONCLUSION]

Allogeneic UTx in the cynomolgus monkeys resulted in temporary recovery of menstruation with three immunosuppressants and uterine atrophy with two immunosuppressants. This preliminary experience suggests that recovery of uterine function after allogeneic UTx in non-human primates is possible but more experiments are required. Pubmed

主な国際医学論文3

Mihara, Kisu, Hara et al. Uterine autotransplantation in cynomolgus macaques: the first case of pregnancy and delivery.Hum Reprod. 2012 Aug;27(8):2332-40. doi: 10.1093/humrep/des169. Epub 2012 May 30. Pubmed

※世界で初めて霊長類(カニクイザル)を用いて、自家子宮移植後に自然妊娠を報告。

Abstract
[BACKGROUND]
For women with congenital uterine infertility, or for those who have undergone hysterectomy, uterine transplantation is one of the potential treatments to regain fertility. In this study, we utilized a primate model of uterine transplantation, and evaluated the patency of our microsurgical anastomoses, and the perfusion of the transplanted uterus.

[METHODS]
Two female cynomolgus monkeys underwent surgery. We anastomosed two arteries and one vein in Case 1 and two arteries and two veins in Case 2. The arteries used were the uterine arteries and the anastomosis was done to the external iliac artery. We used one of the ovarian veins in both animals, but resected the ovary from the Fallopian tube. Uterine arterial blood flow and uterine size were determined by intraoperative indocyanine green (ICG) angiography and ultrasonography. The biopsy of the uterine cervix was performed after surgery.

[RESULTS]
ICG angiography showed that the unilateral uterine artery perfused the bilateral uterine bodies and cervix. In Case 1, ICG angiography showed the occlusion of one of the anastomosed arteries during the operation and the uterus appeared atrophied 2 months after operation. In Case 2, the transplanted uterus survived and normal menstruation occurred. The animal achieved a natural pregnancy and was delivered by the Caeserean section due to early separation of the placenta. The newborn suffered fetal distress.

[CONCLUSIONS]
These results show the anastomosis of at least the bilateral uterine arteries and the unilateral ovarian vein is required for uterus transplantation. This is the first report of a natural pregnancy in a primate following uterine autotransplantation.

【日本語要旨/2017年度 日本形成外科学会総会にて発表】

移植医療は形成外科・再建外科領域で根付くのか。 

~子宮移植・複合組織移植の臨床応用実施に向けた我々の知見~

(目的)
子宮性不妊症患者は、産児を得ることは不可能である。 そのため、子宮移植技術の開発と倫理問題解決が急務である。我々はマイクロサージャリーの最新技術・知識・経験を用いて、子宮移植の移植術式を確立してきたので、ここに報告する。

(方法)
カニクイザル 8頭中、6 頭で自家子宮移植を実施し、 2頭にて他家移植を実施した。さらに臨床応用への準備として助産学学生8名のレポート調査及び、一般人3000名へアンケート調査を実施した。

(結果)
自家移植においては、 6頭中3 頭で生理再開、 1頭において妊娠・出産に成功した。他家移植例においては生理再開を 2頭中1 頭において認めた。アンケート調査に関しては、代理母希望者が 20.3%で、子宮移植希望者は 23%であった。

(結論)
自然妊娠・出産(自家移植)、生理再開(他家移植)という結果は、いずれも非ヒト霊長類を用いた世界初の成功例であった。 2015年は海外でヒト子宮移植が実施、移植後の妊娠成功が報告された。現段階における子宮移植の基礎研究と臨床研究における現状を報告する。本基礎研究を基礎として、世界に於いては子宮移植が実際に行われ、産児を得ている。日本に於いても、より低侵襲かつ、高成功率の術式を再建外科技術を用いて開発し、臨床応用を実施する時期が来たといえる。本プロジェクトは、形成外科医療チームと、産婦人科医療チームの合同チームで到達し、日本での臨床応用準備を行っている。GIDへの子宮移植応用に加え、顔面移植・手の移植が日本において根付くためにはどのような課題が残っているのか検討したい。

子宮移植実験におけるエコーでの胎児評価(心拍・整容)

子宮移植実験における世界初の自然妊娠報告(帝王切開出産)

主な国際医学論文4

Mihara, Kisu, Hara et al. Uterus autotransplantation in cynomolgus macaques: intraoperative evaluation of uterine blood flow using indocyanine green.Hum Reprod. 2011 Nov;26(11):3019-27.  Pubmed
※ICG血管造影技術を用いて、より低侵襲な子宮移植術式を開発。本法により、ドナーリスクを低減することが可能となることを報告した。超微小外科技術、再建外科技術を移植領域に応用した画期的な論文。

Abstract
[BACKGROUND]

Uterus transplantation may be the only theoretical option for some women, for example, those with congenital uterine infertility or who have undergone hysterectomy. In this study, we evaluated the intra- and post-operative blood flow conditions of vascular anastomosed regions and the blood-perfused area of the transplanted uterus in a cynomolgus macaque model of uterus autotransplantation.

[METHODS]
Female cynomolgus monkeys (n = 6) underwent surgery: the first two animals were used to study the pelvic vascular anatomy and the remaining four animals were used for uterus autotransplantation. We used indocyanine green (ICG) fluorescent angiography during surgery to assess blood perfusion in the vascular anastomosed region and uterine area. After surgery, the uterine size, presence or absence of the endometrium and blood flow rates in the uterine artery and vein were evaluated using Doppler ultrasonography.

[RESULTS] Uterine arterial and venous anastomoses succeeded in all four animals that underwent autotransplantation. Intraoperative ICG fluorescence angiography showed favorable blood flow in the vascular anastomosed regions and the entire uterus received a sufficient blood supply from a single uterine artery. Favorable blood flow in the uterine artery and vein immediately after surgery was shown by Doppler ultrasonography. Ultimately, three out of four animals died within 3 months following surgery because of reduced feeding and loss of body strength.

[CONCLUSIONS]
ICG fluorescence angiography can be used for simple evaluation of real-time blood flow conditions in the anastomosed uterine artery, vein and uterine area and can facilitate the success rate of uterus transplantation.

世界で初めて、ICG血管造影法を子宮移植研究に応用(動画)

形成外科専門医 三原誠

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  5. (子宮性)不妊症もどげんかせんといかん! ※子宮移植研究

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共著/リンパ浮腫(よく分かる最新の医学)/主婦の友社

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