症例報告詳細

超重症リンパ浮腫患者さんの治療

通常の治療内容:リンパ管静脈吻合術
治療費用:約10万円(3割負担)
リスクや副作用:術後の悪化(0.1%未満)

むくみクリニックでは、JR東京総合病院との連携により、超重症リンパ浮腫患者さんのための治療を行っております。

保存療法や、外科治療(LVA等)を組み合わせた、患者さんの病態に合わせたオーダーメイドの治療を提案致します。

これまで、多くの超重症リンパ浮腫患者さんの治療を行い、歩行のみならず、立つことも難しい患者さんが立ち、歩くことを可能にしております。

治療を諦めていた患者さんが、笑顔になることを私どもは楽しみにして診療を行っています。

【症例】    40代の女性患者さん。

【既往歴】無し

【原疾患】子宮頸がん術後にリンパ浮腫が発症。

【病歴】 様々な医療機関を受診するも、改善せず、10年以上にわたり浮腫が悪化している状況。本人やご家族は、多くの医療機関を受診し、様々な治療を試みるも、医療者側が治療を断念し、自宅療養となる。自宅療養を経て、在宅診療クリニックの担当医より、JR東京総合病院(三原医師・原尚子医師)に治療依頼有り。

【治療内容】

①入院治療(約1ヶ月) リンパ浮腫担当看護師による保存療法の実施。本人や家族へのセルフケア指導。立位訓練、歩行リハビリ。

※半年ぶりに立位になることから、ふらつきや血圧低下からの転倒を懸念し、医師や看護師、リハビリテーションスタッフ複数名でサポート。
※入院ベッド1台ではリンパ浮腫の脚が収まりきらず、2台の入院ベッドを連結し、入院加療を行う。    

②在宅治療(約2ヶ月) 在宅診療クリニックとの連携、ご本人やご家族のセルフケア、創部ケアを実施し、浮腫の改善を図る。

※患者さん本人やご家族もセルフケアを工夫、改善して頂き、更なる浮腫の改善を図る。

③入院手術(約1ヶ月) 保存療法にて改善した結果、余剰皮膚や、余剰脂肪組織の境界が明確になる。

※必要最小限の切除(全身麻酔;象皮病根治術)を実施し、体重は100kg減少となる。現在は196kg→94kgへ。

④自宅療養 本人・ご家族の強い希望にて、自宅にて歩行リハビリ、創部ケア、セルフケアを行う。

⑤外来診療 初診時には、自宅から外出することもできない状況であったが、現在は自宅近くのスーパー・コンビニまで歩行して通うことができると。

※ご本人・ご家族の積極的な治療実施により、浮腫も著しく改善し、QOLも向上。
※蜂窩織炎が頻発している状況であったが、現在は蜂窩織炎の出現は認めず。
※今後、リンパ流の改善を目的に、LVAを検討。ご本人は、今後も前向きに治療することを考えており、タイミングを見て治療計画を立てる。

【本人のこれからの夢・目標】

・これからの人生を健康で、元気に生きる!

・サポートしてくれた家族(夫)に恩返しする!

・浮腫が悪化して、撮りそびれていたウェディングフォトを撮る!!

【診療チームの夢・目標】

・患者さんが今後も元気に、楽しく、自分の脚で歩けるようにサポートする!

・100才まで元気に過ごしてもらう!

・超重症のリンパ浮腫患者さんのために、治療技術を磨く!!

あなたは医療従事者ですか?